Toyの日記

描いている落書きや覚え書きを書き留めています

若手との比較が無意味な理由

 私は来年の退職を控え、少しずつ若手への引き継ぎを進めています。その中で、よく耳にする言葉があります。

「若手の育成が間に合わない」

「これからどうしたらよいのか」

 この言葉の裏には、若手が私ほどできるようにはならないのではないか、という焦りがあるのだと思います。

 たしかに、それは事実です。私は60歳で、40年近い勤務経験があります。一方、若手は社会人になってまだ数年です。

 よく考えれば、この比較そのものに無理があります。現在の私と20代の若手を比較するのは、公平ではありません。比較するなら、システムの素人だった20代の頃の私と比べるべきです。しかし、往々にして、現在の私と若手を比較してしまう。そこに、ひとつの罠があるように思います。

 私が抜ける穴を埋めたい。組織として、そう考えるのは当然です。しかし、私が持っている能力は、40年近い経験の積み重ねによって得たものです。それを20代の若手にそのまま求めるのは、公平ではありません。

 では、どうするか。

 私は今、トラブルの発生事例や、その対応方法をマニュアル化しています。また、私でなくてもサーバー機器の選定ができるように、モデルケースや機器の選び方も整理しています。

 長年の経験から、どのようなトラブルが発生し、どう対処すればよいのか。定期的に訪れる機器の更新に、どう備えればよいのか。私は、経験の中でそれを理解してきました。

 その内容をマニュアル化し、若手がそれに従えば、迷わず仕事を進められるようにする。私が試行錯誤して得た経験を、若手が遠回りせずに身につけられるようにする。それが、今の私にできる引き継ぎだと考えています。

 実際、若手はすでに私の仕事の多くを引き受けるようになっています。私から見れば、頼もしい限りです。少なくとも、同じ年齢の頃の私よりも、はるかに多くのことをこなしています。

 私の退職まで、残り10ヶ月です。その間に、若手が私と同じレベルまで成長することはありえません。わずか10ヶ月で、40年近い経験をすべて身につけられるほど、この仕事は軽いものではないからです。

 しかし、組織として業務を運用するために必要な知識には、「必要十分な範囲」があります。私が遠回りして得たノウハウを、整理された形で受け取ることができれば、若手は十分に実践的な知識を得られるはずです。

 今の私と若手を比較して焦るのではなく、若手が仕事を進められる仕組みを残すこと。その仕組みこそが、私の退職後に組織を支える力になるのだと思います。

マルス