Toyの日記

描いている落書きや覚え書きを書き留めています

小説

ブルーライトニング 第102章

玲子にはいつもの客間を用意され、マルスとトリオと一緒に寝ることになった。客間のベッドは子ども三人で並んでも余るほど大きく、三人一緒で寝られるので、少し新鮮な気分である。マルスとトリオはおそろいのパジャマを着ていた。今回ばかりは玲子がしっか…

ブルーライトニング 第101章

玲子とトリオが夕食の支度をしている頃、上原と敷島に連れられて、マルスが帰ってきた。「ただいま、お姉ちゃん」 マルスはいたって元気だった。「今日、マーサがニュースに出ていたわね」と玲子が言うと、「そうだね。注目の的だよ」「マーサって、控えめな…

ブルーライトニング 第100章

リヨン大統領官邸を襲ったクーデターは、大きなニュースとなった。三十体を超えるロボットが官邸に突入したことも衝撃だったが、それを迎撃したダグラス社のロボットが、ほとんど一方的にテロロボットを制圧したことも大きく報じられた。 「ダグラスのロボッ…

ブルーライトニング 第99章

玲子が学校から帰ると、シチューのいい香りが玲子の鼻をくすぐる。「ただいま」 台所をのぞくと、マルスが踏み台の上に立って、鍋をかき回していた。隣でトリオがマルスのすぐ横に立っている。たぶん、トリオがマルスにつきっきりでシチューの作り方を教えて…

ブルーライトニング 第98章

第七艦隊司令の西郷は、エレクトラの操縦する連絡機で、プレスト海軍司令部に戻ってきた。重要な戦略会議のため、通信を介するのは危険だと判断されたのだ。 西郷が参加した会議には、高野長官を始め、スコット司令、ファントムの責任者であるサム、嘱託であ…

ブルーライトニング 第97章

玲子とマルスはダグラス社の整備棟に続く廊下を歩いていた。「私に会わせたいって、誰」 特別に立ち入りを許可されている玲子でなければ、これないエリアである。「どうしても、お姉ちゃんに会いたいっていうんだけど、シティに行けないんだ。大きすぎて」「…

ブルーライトニング 第96章

プレスト海軍司令部は、ダグラス社のセキュリティエリアを間借りしている。硬質な照明の通路を、レナとマルスが並んで歩いていた。司令部に呼び出されたからだ。 「レナ、今日は学校はいいの?」 マルスが遠慮がちに聞くと、レナはいつものように微笑んだ。…

ブルーライトニング 第95章

連邦軍第二艦隊が起こした連邦軍司令部の激震はすさまじかった。連邦軍司令部の主流派は、対テロリスト対策のための連邦軍艦隊の構築を主導してきた。しかし、ロンドシティ防衛軍に拘束された第一艦隊司令部が、偵察映像の証拠を突きつけられ、テロへの荷担…

ブルーライトニング 第94章

昼過ぎに、瑞穂が訪ねてきた。「良かった。元気そうね」「ごめんね、今日は」 ベッドから半身を起こしている玲子の手に、瑞穂は手を添えた。「いいのよ。疲れていたのよ。マルスのこと、心配だったんでしょ」「ええ、あとから考えれば何を悩んでいたんだろう…

ブルーライトニング 第93章

玲子の様子に昨日までの重苦しさが消え去り、敷島さえもマルスの価値を認めざるを得なかった。一方で、マルスを失ったらどうなるのかという彼の不安をさらに増大させた。だが、いまさら玲子とマルスを引き離せないことも理解しつつあった。 夕食のあと玲子は…

ブルーライトニング 第92章 

玲子のハンディ(携帯端末)にメールが着信した。玲子はハンディを操作してメールの内容を読んだ。明後日にはマルスが直る。そういう内容だった。玲子の表情がわずかにこわばったのを、瑞穂は見逃さなかった。「何かあったの」 玲子の様子がおかしいことに瑞…

ブルーライトニング 第91章

ラルゴシティが所管する連邦軍第二艦隊がテロに加担した――その事実は、連邦政府と連邦軍司令部に深刻な衝撃を与えた。 プレスト海軍司令のスコットは連邦軍司令部と連邦政府への報告に忙殺される。ラルゴシティからは「第二艦隊の全艦艇を撃沈したこと」への…

ブルーライトニング 第90章

前例のない7機のドラグーンの来襲。そこにプレスト防衛軍が加担し、シティに銃口を向けた現実。さらに防衛軍の伊藤司令が家族とともに政府専用機でプレストシティを脱出した事実がニュースで伝えられたとき、市民の反応は混乱より怒りだった。「自分と家族だ…

ブルーライトニング 第89章

時を少し遡る。 ドラグーンと結ぶデータリンクから、モルガンは五体のタイタンが出撃していることを知った。彼は勝利を確信し、ダグラスインダストリーの攻略作戦を実行に移すことにした。フローティングブイアンテナを収容し、潜水艦を浮上させ、攻撃用のド…

ブルーライトニング 第88章

同じ頃、防衛軍がプレスト海軍の部隊を攻撃した事実を受け、レッドファントムは防衛軍施設へ突入した。 本来は災害対応や救助を担うロボット部隊だが、副次的な戦闘任務にも対応する。 施設内では、武装した防衛軍兵士が銃で応戦した。「武装抵抗を継続する…

ブルーライトニング 第87章

モルガンの潜水艦隊は、プレストシティ沿岸に進出したところで、フローティングブイアンテナを浮上させた。波間に浮かぶアンテナを通じ、連邦軍の第二艦隊から情報の提供を受けるためである。ラルゴシティに所属する第二艦隊は第一艦隊とともに武装テロリス…

ブルーライトニング 第86章

プレスト海軍副司令である川崎中将は、多用途機アーチャーの副操縦席に座り、第七艦隊旗艦である空母ジュノーに向かっていた。機長席にはニーナが座り、機体を操縦していた。「副司令がわざわざ出向く必要があるのですか?」「第七艦隊の二人の司令官を同時…

ブルーライトニング 第85章 

学校から帰ったリョーカが、夜間シフトで基地に詰めていたマルスに会いに来た。「あれ、どうしたの、リョーカ」 控えめなマルスの問いに、リョーカがはじけた様子で答える。「マルスに会いに来ちゃった」「そう」と、マルスは冷静だ。 リョーカが態度を改め…

ブルーライトニング 第84章 

玲子とマルスは手をつなぎながら帰途についた。玲子が迎えに来たのがうれしいのか、マルスの足取りは軽い。 だが、シティトラムの駅に着き、到着を待つ間に、マルスが控えめに尋ねてきた。「お姉ちゃん、ぼく……お姉ちゃんの役に立ってる?」 玲子は立ち止ま…

ブルーライトニング 第83章

玲子が引き続き、マルスの面倒を見ると、川崎副司令から第七艦隊に伝えられた。サム・ダグラス大佐からそれを伝えられたマルスは、そのまま、ブルータイタンを使った空戦訓練に臨んだ。空母ジュノーに隣接した空戦訓練空域にマルスが乗るブルータイタンとノ…

ブルーライトニング 第82章

サムは内心、承服しかねたが、「玲子の気持ちを尊重することを前提に、マルスを預かりますよ」と、敷島の申し出を受けた。当のマルスはしょんぼりとしている。無理もない。敷島がサムにマルスを引き取ってくれと言ったからだ。一週間続く、マルスの第七艦隊…

ブルーライトニング 第81章

夕食を終え、玲子と上原と敷島は、テーブルを囲んで三人で談笑していた。マルスはスクランブル待機中ということで、ここにはいない。 玲子は放課後、テニスでリョーカに会ったことを話題にした。「今日、リョーカに会ったのよ」「そう。どんな感じ?」と上原…

ブルーライトニング 第80章

「いってきます」 玲子は、居間でくつろいでいる上原に声をかけた。 「いってらっしゃい。今日の夕ご飯は私が作るから、のんびり帰ってきていいからね」 「はい」 そう返事をして、玲子は鞄を持って玄関へ向かった。玄関先ではロビーが待っていて、靴を履き…

ブルーライトニング 第79章

海軍の連絡機に乗って、フォルテシティからルイスとリョーカが帰ってきた。リョーカにとっては初めてのプレストシティだが、マスターであるルイスが一緒なので、不安そうなそぶりはまったくなかった。サムはそんな二人を出迎えた。 「ルイス、つかれてないか…

ブルーライトニング 第78章

週末のパーティから幾日か過ぎた頃、玲子と瑞穂のクラスにレナが転入してきた。 ソレイユそっくりのレナの姿にクラス中にどよめきが起こったが、ソレイユとは別のロボットであることを先生が説明したのでその場は収まった。 伊藤綾とその取り巻きが、警察沙…

ブルーライトニング 第77章

上原がオフィスで人工頭脳のシミュレーションをしていると、来客があった。「いま、いいかしら」 やってきたのはアリス・ダグラスだった。「どうぞ」と上原は丁寧に招き入れる。「コーヒーでいい?」と上原は気楽にアリスに問うと、「ええ、お願いできる?」…

ブルーライトニング 第76章 

玲子たちが帰ると、敷島は夕食を用意して待っていた。 「おお、お帰り」敷島が声をかける。二人は部屋着に着替え、テーブルについた。 「お帰りなさい。レナはどうだった?」との上原の問いに「ソレイユとして、すごくなじんでいたわ」と玲子が答える。 ふっ…

ブルーライトニング 第75章

週末、瑞穂の家が営む喫茶店で、ささやかなパーティーが開かれた。招かれたのはソレイユのはずだったが、彼女の死は外部には伏せられているため、代わりにレナが姿を見せていた。 レナはソレイユと瓜二つの外見を持ち、声も記憶も受け継いでいる。そのため、…

ブルーライトニング 第74章

プレスト海軍基地では、マルスのメモリーからコピーした戦闘記録の解析が進められていた。「ライトニングファントムにこれほど統制のとれた行動をとらせるとは、たいしたものだね」 川崎は、傍らのマルスに言った。目の前のディスプレイには、ライトニングフ…

ブルーライトニング 第73章

玲子が帰ると、上原が居間でのんびりくつろいでいた。「お帰り、玲子」「おばさん、帰ってたの?」「ええ、昼前にね。時差ぼけがつらくて休んでたの」 敷島と上原は、フォルテシティのローウェルインダストリーに長期出張に行っていた。「おじさんは?」「仕…